「あってはらならい結露」コラム

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あってはらならい結露

最終更新日:2016年05月25日

 蒸し暑い日本の夏には、ちょっと冷えた物を用意するとすぐに汗をかいて濡れてしまいます。これが結露です。

 結露も絶対水蒸気量で説明できます。温度が高い部屋の空気の中にはたくさんの水蒸気量がありますが、冷えた物の近くでは温度が低くなるので絶対水蒸気が下がり、水蒸気があふれて結露しているのです。もちろん湿度が高いほど、結露は起こりやすくなります。

 住宅では結露の問題の多くは、湿度の高い夏よりも冬に注意しなければなりません。調理やお湯を沸かすことや、人が呼吸することでもたくさんの水蒸気が放出されています。そこに部分的に温度が低い場所があると結露します。

 その代表が窓周りで、アルミのサッシ枠やガラス面などに、結露が見られます。でも、これらの結露は見えるので拭き取ることも可能です。住宅で怖い結露は壁体内の結露です。これも絶対水蒸気量で考えるとわかります。

 断熱材というのは、文字通り熱が伝わらないように遮断する材料です。つまり断熱機能が高いほど、断熱材の外と内で温度差があるということです。住宅の壁では、冬には外側の表面が冷たく、内側は室温によって暖かくなっています。その周辺の空気の絶対水蒸気量はこの温度に比例します。

 これに対して実際の水蒸気量を、どこで遮断するかによって結露が生まれる可能性が出てきます。防湿層が断熱材の外側にあると、冷たい空気に触れて壁の外側で結露する可能性があるのです。つまり、防湿層の内側に必ず断熱材がなければなりません。断熱材は外壁の下地板を張ってから工事することが多いので、室内側である手前に防湿層が見えていることを、しっかり確認しておいてください。

 壁の内部結露は、完成すると見えなくなっているところで起きるので早期の発見も難しく、欠陥住宅になりかねません。発生した結露は、断熱材に浸み込むと断熱性能が低下して、さらに内部結露を呼びます。これらの湿気でカビが生えたり、シロアリや普及菌が繁殖したりすることになります。住宅の性能と耐久性を著しく劣化させかねません。内部結露はあってはならない結露です。

 

室内の結露対策

 一方、サッシの枠やガラス面に発生する結露は、断熱性を高めたペアガラスや断熱サッシを使うことで、温度差が少なくなり結露しにくくなります。それでも、煮物や多くの人が集まると、室内の水蒸気が増えて結露することもあります。暮らし方まで考えると、結露を完全に防ぐことは難しいことです。

 たとえば、断熱性の高いサッシやペアガラスを使って結露を起こしにくくすると、室内にあふれた水蒸気は、少しでも温度の低いところで結露しようとします。押入れの奥や家具の裏側などにカビが生えているのを経験している人も多いと思います。

 そのためには、断熱性を高めると同時に、しっかりとした換気を行う必要があります。気密性能が高ければ高いほど、しっかりと空気が流れる家にしなければなりません。さらに人は放射熱でも暖かさを感じます。空気の温度が多少低くても良いので、温度差が少なくなる傾向にあります。放射式の暖房用具を使うのも結露対策のひとつになります。

過乾燥の時代

 ところが湿度は、高いことだけが問題ではありません。乾燥が進むと、ドライアイや乾燥肌などで悩むことになります。それだけではなく、口や鼻の粘膜が乾燥し防御機能が低下して、ウィルスが体内に入りやすくなります。またインフルエンザが乾燥した冬場に流行するように、ウィルスは低温で乾燥した環境を好みます。湿度が低くなることも、人にはうれしい環境ではないのです。

 断熱性の高い住宅では、冬でも暖かい室内環境になってきました。温度が高いということは、これまでにも書いた通り絶対水蒸気量は大きくなっています。つまり乾燥して水蒸気量が少ない冬には、部屋の中はさらに乾燥しているということです。住宅の性能が高まるほど、室内はうるおいのない過乾燥の環境になる傾向にあります。

 乾燥への対処は、加湿器があります。加湿器にはお湯を沸かす蒸気方式や、フィルターに風を通す気化方式・透湿膜方式、さらには超音波による方式などあります。いずれにしても、機械を設置することになるので、水やフィルターなどの管理をしっかり行わないと、悪い空気環境をつくることになりかねません。

■おうちのはなし 076

呼吸する家―湿度を味方にする環境づくり― 

一般社団法人 住まい文化研究会 石川 新治

http://ouchi874.org/

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