「日本の木で家をつくる」コラム

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日本の木で家をつくる

最終更新日:2018年05月25日

木の文化と土の文化

 同じ東アジアの文化圏である、中国や韓国の社寺仏閣と日本の建築を比較すると、真っ先に違いを感じるのは軒の深さです。この建物の違いを見るだけでも、日本が雨の国であることがわかります。そして、軒の出を深くするために上手に木材を使いこなしてきました。

 現実的に、世界最古の木造建築物は日本にあり、中国や韓国には木造建築物はあまり残されていません。木材を上手に使って、軒の深い建築物を作ることは少なかったのです。日本が木の文化の国であれば、中国は土の文化の国なのです。

 それは建築物だけではなく、仏像のつくり方でも同じです。日本に多く残されているのは木造であり、他国は塑像や乾漆像、金銅像が多くなります。これらは日本にも入ってきますが、結局、日本では木造に落ち着きます。

 また頭書、日本に持ち込まれた木像は壇でできていました。やがて香木としても近い材としてクスノキで造られるようになり、平安中期にはほとんどのヒノキに統一されます。広葉樹の材から針葉樹に変わるのは、加工するための刃物の扱い方も違い、できあがった像の造形も異なります。形よりもヒノキという木材の神聖さを崇めたのかもしれません。

木の国ニッポン

木の国である日本では、神話の中でも木材についての記述が多く残されています。『古事記』や『日本書紀』には、合わせると53種もの樹種が記されています。『古事記』のヤマタノオロチの背にはマツとカシワが生え、『日本書紀』の大蛇の体にはヒノキとスギが生えていました。

 さらに『日本書紀』神代の巻、スサノオノミコトの説話では、ひげを抜いて投げればスギとなり、胸毛はヒノキ、尻の毛はマキ、眉毛はクスノキになったと書かれています。神話の時代から、日本人は森が育つこの恵まれた国土に、いわば植林をして木を使いこなしてきたのです。 

 さらにスギとクスノキは船に、ヒノキは宮に、そしてマキは棺に使うよう記されています。豊富な樹種を適所に分けて、使うことを知っていたのです。そして実際に出土する船や棺にはこれらの材が使われています。

 中でも棺に使われたコウヤマキは11種の日本の固有種で、奇跡的に日本にのこされた樹木のひとつです。水に強く耐久性の高い材として古代から棺に使われ、実は百済の遺跡でもマキの棺が出土しています。貴人を葬るためには、遠くの日本から取り寄せて作られたものと考えられます。

失われた国産材の価値

 日本の植林の歴史は、城を築くためにも重ねられてきました。しかし、神代にスサノオノミコトが心配したような樹木が少ない時期を、近年に迎えることになります。それは太平洋戦争の終った時です。まさに国土を上げての戦いでもあったということです。戦後、早々に植林されましたが、使える木材の量を確保することはできませんでした。木の国であったはずの日本が、木材を輸入しなければならなかったのです。

 木材をたくさん使うのは住宅です。日本の風土に合うとも思えない軽量鉄骨造の家が世界に前例がないほど量産され、木材の使用量が少ないパネルで作られた家ができたのも、このような背景があったからです。

 一般的な木造住宅の木材の自給率も、およそ3割です。たとえば近所で木造住宅の工事現場を見かけたら、柱でいえば半分、梁であれば95%が外材の時代です。

 しかし戦後の植林から60年が過ぎ、奇跡の自然が息づく日本にはすっかり樹木が育ちました。そして1995年頃より、天然林の蓄材量を人工林が抜きました。日本の国土に1年間に増える木材量は、今では約1億㎥にもなると見積もられています。山に生える樹木が、1年に増やす年輪分の総量がそれだけあるのです。木材の国際的な輸出国でもあるフィンランドの8000万㎥よりも多くの木材が日本で生まれているのです。

 しかも人工林は、定期的に伐採して更新してあげることも、大切な環境保護の方法です。木材に関しては、日本はすでに資源国になっているのです。

 でも建主が家を建てる時に、材を指定することはほとんどありません。完成して覆われてしまえば、わからなくなるので木材への愛着も失われてしまったかのようです。そこで、国も各自治体も様々な制度を用意して、地域の木材を活用する機会を増やそうとしています。

日本の木の魅力

 日本人が愛してきた木材の多くは針葉樹です。ナラ、クルミ、マホガニーと硬い広葉樹を選び、塗装して家具を作ってきた西洋の樹種の選び方とは違います。そして針葉樹は導管がないことから光の反射率も倍近くあります。きれいに仕上げれば光沢が出て白木の肌の美しさを楽しむことができます。その代表格はなんと言ってもヒノキです。

ヒノキ

 樹木としてのヒノキ属には世界に6種あります。そのうち2種が日本にあり、ヒノキとサワラです。残りは台湾ヒノキと北米にある3種です。その中でも、すっきりと通った木目や、肌合いを決める密度、色と光沢、さらには香りで選べば日本のヒノキにはかないません。

 だからこそ世界遺産の法隆寺はヒノキで建てられ、1400年もの間の強度と美しさを保っています。また、数々の木像が日本ではヒノキで作られたもの、ヒノキに対する神聖さを感じていたからに違いありません。

マツ

 マツには五葉と二葉があって、主に建材は後者のマツで、山地に生えるアカマツと、海岸に生えるクロマツがあります。強度があるので、横架材として使われることが多く、中国地方などでは地マツが豊富にあり好まれています。また、荒地にも育つので、「尾根マツ、谷スギ、中ヒノキ」と言われ、乾燥して痩せ地である尾根にマツは植えられてきました。

 カラマツも同様の荒地に最初に生える樹木、つまりパイオニアウッドです。カラマツが育ってできた日陰に、他の樹々が育つことで森は再生されてきました。

スギ

 スギもまた、日本人に大切にされてきた樹木のひとつです。それを知ってか、学術名をクリプトメリア・ヤポニカ(Cryptomeria Japonica:日本の隠された財産)といい、日本という名前が付けられている樹木です。天井板や建具など、さまざまな部位で建材として使われています。桂離宮の上皇をお迎えするために作られた新書院では、長押に節ありのスギ材がわざわざ使われています。

 食器や身近な材としても使われると同時に、建材としての高級さでは、ヒノキをはるかに凌ぐ材になります。

日本の木を使う

 この他にも、さまざまな日本の木を利用することができます。棺に使われていた日本の固有種であるコウヤマキ、ヒノキ以上に風呂の材として適しています。

 針葉樹だけではなく、広葉樹の種類も多くあります。ケヤキは、城郭などでは構造材としても使われてきましたが、今では縁甲板や床板としてよく使われます。その他、ナラを始めとして、カバやクリなど数々の広葉樹が床材として使われています。

 日本の建築では数寄屋造りによって、さらに使い方が人がりました。製材しないで幹の表面に皮を付けたままにして使う『面皮』使い方もあります。たとえば面皮のサクラやツバキの曲げ木を、インテリアのちょっとしたところに使ってみませんか。日本の木をさりげなく使うことで、地球が生んだ奇跡の土地に住んでいる気持ちを味わえるかもしれません。

■おうちのはなし 027

日本の木で家をつくる 

一般社団法人 住まい文化研究会 石川 新治

http://ouchi874.org/

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