住宅ローンの基礎知識
借金をかかえられますか?
世界の中でも、日本人は貯蓄志向であると言われています。そのことを反映してか、日本人は借金が嫌いという傾向もあります。しかし、人生最大の買い物である住宅を建てるのに、現金で買える人は多くありません。借金をするのではなく住宅ローンを組むことは、ちょっと考え方が違います。
たとえば年間で100万円貯めるには、毎月83330円の貯蓄が必要です。30年間続ければ3000万円が貯まります。本来は利子のつくものですが、現在の預金金利ではあまり期待ができません。
では、この3000万円を30年返済の住宅ローンを組んだら、どれくらいの毎月返済になるでしょうか。5年固定の変動金利0.9%で計算すると、月々の返済は約95.120円です。今は金利も極めて低いのですが、そのまま話を進めます。
この差額はわずか11.800円です。でも大きな違いは貯蓄しようとした場合、この他にも住居費がかかることです。つまり家賃が11.800円よりも安ければ貯まりますが、そうでなければ家賃とは別に貯めなければなりません。それも30年間ともなると親元に暮らす以外は考えられないことです。
つまり住宅ローンを組むことは自分で建てた貸家に、積立貯蓄をしながら11.800円で自分が借りて住むようなものです。借金をするという考えよりも、よく知っている自分という家主を見つけたと考えることができます。その上自分で払った家賃は自分に戻ってきます。
■おうちのはなし 066
住宅ローンの基礎―住宅取得の大事なツール―
一般社団法人 住まい文化研究会 石川 新治